スティーブン・R・ガンドリー医学博士の書籍【食のパラドックス】で、
【プラントパラドックスプログラム(レクチンフリーダイエット法・食事療法)】としてレクチンフリーのことが紹介されています。
しかし、現在の日本において、このプラントパラドックスプログラムを忠実に実行するのは、(食材入手の問題で)かなり難しいものがあります。
そこで、当サイトでは、
「日本に暮らす一般人が、無理なくレクチンフリー食を取り入れつつ、健康的で豊かな生活を送るにはどうしたら良いか?」という観点から、レクチンフリーについて書いていきます。
レクチンフリーについての基礎知識
レクチンフリー食においては、「何を”食べないか”」が重要となります。
基本的には、
「レクチンが含まれていないもの=食べてOKな食材」
「レクチンが含まれているもの=避けるべき食材」
となります。
ただし、
「レクチンが含まれているが、調理法(発酵・圧力調理など)によって無毒化できる食材」
「飼育法(養殖法)によって、間接的にレクチンが入り込んでしまう食材」
などもあるので、注意が必要です。
大根、にんじん、玉ねぎ、サツマイモ、葉野菜、海藻類、キノコ類、ブロッコリー、白菜、キャベツ、オクラ、里芋、こんにゃく、アボカド、ナッツ、ココナッツ、オリーブ、ダークチョコレート、柿、味噌、キムチなど
玄米、パン、パスタ、そば、シリアル、じゃがいも、砂糖、人工甘味料、豆類、もやし、豆腐、ピーナッツ、カシューナッツ、チアシード、トマト、なす、キュウリ、カボチャ、メロン、トウモロコシなど
牛肉・豚肉・鶏肉(餌にトウモロコシが与えられているものはNG)、養殖魚(餌に大豆由来の原料を含むものが与えられているものはNG)など
レクチンを含む食材を食べることで、様々な体調不良に繋がるとされていますが、自覚症状が無い場合や、あるいは症状があってもレクチンが原因だと認識されていないことも多いようです。
また、レクチンの耐性には、大きな個人差があるため、
同じものを食べても、症状が全く出ない人もいれば、僅かな量ですぐに重症化してしまう人もいます。
レクチンが含まれている食材の多くは、いわゆる「体に良いとされているもの」が多いので、レクチンフリー食に切り替えるためには、食に対する価値観を根本から組み立て直す必要があると言えるでしょう。
レクチンフリー食によって改善が期待できる症状
書籍・食のパラドックスによると、レクチンを含む食事を採ることで、以下の症状に繋がるとされています。
吹き出物
シミ
アレルギー
脱毛症
貧血症
関節炎
喘息
自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、1型糖尿病、クローン病など)
がん
口内炎
認知症
うつ病
胃腸の問題
頭痛
心臓病
不妊、月経不順、流産
かんしゃく、行動変化
男性型脱毛症
片頭痛
パーキンソン病
皮膚発疹
乳幼児の発育不良
白斑
体重の減少や増加食のパラドックスp.88より一部抜粋して引用
逆に言えば、食事からレクチンを取り除くことにより、上記の症状の改善が期待できるということになります。
「なぜ、レクチンを摂取することがこれほどまでに多彩な症状を引き起こすのか」について詳しく知りたい方は、ぜひ、食のパラドックスを読んでみてくださいね。
(「概要が分かって症状が改善すれば後は何でもいい!とにかくやり方を知りたい!」というせっかちな方には、当サイトの情報がお役に立てるかと思います。)
レクチンには種類がある
ここまで「レクチン」と一括りにしてきましたが、
実際には、レクチンには多数の種類があるものです。
そして、ややこしいことに、レクチンの中には、少量であればむしろ健康に良いとされているものもあるのです。
(例:果物やゴマに含まれる種類のレクチンなど)
グルテンフリーブームで一躍有名となった「グルテン」も、実は、レクチンの一種に過ぎません。
「レクチンフリーの世界観」はかなり複雑で、シンプルな「グルテンフリーの世界観」に比べると、とても分かり難い世界だと言えます。
レクチンに関しては、近年になってようやく研究が始まったばかりで、まだまだ詳しい情報が少ないのが現状です。
日本でカンペキなレクチンフリー食を行うのは難しい
現実問題として、現在(2020年・春)、日本でカンペキなレクチンフリー食を行うのは極めて難しいものがあります。
書籍・食のパラドックスで紹介されているレクチンフリー食材のいくつかは、日本であまり馴染みの無いものだったり、あるいは入手困難だったりします。
例えば、アラスカ産の天然サーモンや、グラスフェッドビーフなどを、近所のスーパーで気軽に購入できるという人は、日本では稀でしょう。
養殖の肉や魚は、エサにトウモロコシなどが与えられていることが多く、その場合、肉にレクチンが含まれることになるのですが、現在、この辺りのことまで考慮してくれる販売店は、ほとんど無いのです。
幸い、カンペキなレクチンフリー食にしなくとも、レクチンの摂取をある程度控えるだけ(低レクチン食)であっても、効果を体感している人はたくさんいるようですし、実際、このサイトの管理人たちも、レクチンフリー&低レクチンの効果を、身をもって体感しています。
しかしながら、目指したいのはあくまでも「レクチンフリー食&それに伴う健康で豊かな生活」であるため、当サイトでは、低レクチン食という言葉を使わず、「ゆるレクチンフリー」という考え方を提唱しています。
OK食材・NG食材リスト
OK食材・NG食材に関する詳細なリストは、以下のページで確認できます。
レクチンが毒である理由について
人間の側からすると、野菜は「食料」ですが、
野菜(植物)の側からすれば、人間は「捕食者」であり、「自分を食べようとする敵」だと言えます。
植物は基本的に身動きが取れないため、
一部の植物は、レクチンと呼ばれる物質を生成して、「自分を食べると、食べた相手が痛い目に遭う」というやり方で、自衛を図ることにしたわけです。
流れとしては、以下のような感じですね。
- レクチンを含む食べ物を摂取する
- レクチンは、植物が自衛のために(自分を食べた相手を攻撃するために)生成する物質だと言えます。
しかし、このレクチンは、全粒粉や玄米、種など、いわゆる健康食と呼ばれるものに含まれていることが多々あります。
- リーキーガット(腸漏れ)状態になる
- レクチンを摂取すると、そのレクチンによって体内の腸粘膜がこじ開けられてしまいます。(=リーキーガット・腸漏れと呼ばれる状態)
腸粘膜に穴が開くと、そこから、レクチンおよび食事によって摂取した物質等が、体の中の様々な場所に入り込んでしまいます。
- 免疫が混乱し、様々な不調が起こる
- 体内に入り込んだレクチンが、他のホルモンを遮断したり、別のホルモンのように振る舞ったりすることで、体内の情報伝達が妨害され、免疫が混乱し、様々な不調が起こります。
実際には、人間は、
植物の皮や種を取り除いたり、発酵させたり、発芽させたりするなどの、レクチンを無毒化する方法を、いくつも編み出してきました。
しかし、昨今の全粒粉ブーム・玄米食ブームなどにより、「それまで捨てられていた栄養素を摂取する」ということを優先した結果、レクチンまで取り込むことになってしまったのです。
結果として、
「健康食を摂っているはずなのに、様々な不調を抱えてしまう」
「健康に対する意識が高い人ほど、レクチン由来の不調を抱えがちになってしまっている」
という状態になってしまっています。